感情的ドリル

Ruby県から飛び出して関東にきたオタク

私から見た桐生あんずと就活本

私が彼女を初めて見たのは仙台のとある居酒屋だった。
東京出向の時に飲んだくれてた時の友達と話をしたり、その場で隣の人と話をしたりしている中で、彼女は大人に挟まれて楽しそうに日本酒を飲んでいた。自分のことを棚に上げて、若いのに日本酒か〜珍しいな〜と思っていたらバッチリ目があって、いわゆる人見知りであるところの私は逃げ腰になった。酒が入った時の同世代への絡み方がわからない。大人への絡み方はわかるけれど、同世代は酒が入っていてもいなくても関わり方がわからない。だからちょっと、本当にちょっと逃げた。(いや多分何回も逃げた)
そしてもう一度目があった時、「あのあの!」と話しかけられたのである。一巻の終わりだ。観念して彼女の近くに行って名刺を渡し、側にいた大人たちにも適当に名刺を配って飲んでいるお酒を教え合ってお代わりをしにいった。
それが、私と桐生あんずの初めての出会いである。


いや酒の場が初対面とか辛すぎでは? せめてホールの移動間とかお昼ご飯の時に隣り合ってわ〜同世代だよろしくね〜くらいがよかった。その場合絶対話しかけないけど。
あとかなり酔っ払ってTwitterの鍵垢速攻で教えてたの今思い出しても穴掘って埋めて無かったことにしたいレベルなので私は酒の飲み方を覚えてください。上限が適当に高いだけに突破するギリギリを見極められないの本当にダメ。人と話すの楽しいけどね。
はめつタイプの桐生あんずと仙台で知り合い、博多で中を深めたはめつタイプの炬燵です。

極道入稿(割増入稿)

私は年2〜8冊くらいのペースでここ何年か同人誌を刷っては即売会で手売りする、いわゆる同人作家をしています。(読みたい人はメロンブックスの通販サイトを教えるのでDMしてください)
自分で言うのもどうかとは思うんですが、基本的に早割入稿・入稿開始日入稿のいい子ちゃんです。極道入稿する人の気持ちがあんまり分からない。
自分がどれだけのペースでかけるか分かっていないならタスクと同じくバッファを持つべきだし、自分のペースが分かっているならちゃんとスケジュール切ってください。もし万が一あなたがクオリティのために締め切りをジリジリと伸ばしているのであれば、「出ない神本より出るクソ本」という狂気の格言を胸に刻んでさっさと入稿してください。
そもそも、極道入稿とは締め切りギリギリを突破して割増の領域に達した、印刷所の人いじめだと認識してください。あなたの極道入稿は、あなたのプロジェクトのバッファを食いつぶして訳のわからん大型タスクが降ってくるようなもんです。印刷のフローには詳しくないのですが、「ページ数の確認」「金額計算」「原稿チェック(印刷したら文字が消えないかなど)」が存在するのは確かです。あなたが深夜に入稿して、明け方には「データチェック完了しました。印刷します」などのメールが来ていたことはありませんか? 今すぐ「金で解決する」とか言ってないで印刷所の方々の健康を気遣ってください。
本は金で解決しても健康と疲労は大抵金では治らないんですよ。

本文

前置きは長くなりましたが、これは極道入稿だった「なれる!? Webエンジニア 〜文系2留大学生のWeb業界就活記〜」の感想です。
私は桐生あんずをコミュ力の塊だと思っています。私が知り合い伝手にしか友達を増やせない人間であるのに対し、酒飲みで溢れる怪しい空間で突然声を掛けるなどの行動を選択できる時点でコミュ力は高いし決断力も勇気もある。羨ましい。そう、私は桐生あんずを羨ましいと思っています。本来ならば「羨ましい」ではなく「すごい」とするべきなのでしょうが「羨ましい」と思っています。
「そうだ沖縄に行こう」と沖縄に出かけるし、「そうだ仙台にいきたい」と仙台に行くスポンサーを見つけて応募するし、「博多にも行こう」とやっぱりスポンサーを見つけて応募するし、行動力のステータスが鬼なんですよね。
私は島根県からホイホイ毎月(ひどい時は毎週)東京や大阪に遠征していた人間なので、「そっか沖縄行くのか〜」と何も感じていなかったのですが、ただ感覚が狂っているのでよくよく考えれば行動力の鬼だと思います。
アウトプットは行動についてきている付属品だし、行動しないとそもそも何も生まれないので、行動力って大事だなーと思いますね。そう思わされる本です。
要するに行動力は正義です。わかりやすいですね。

桐生あんずが就活に失敗して成功するまでの本なんですが、そもそもどうしてその業界を選んだのかとか、アルバイトをしていてどう思ったのかとか、そのあたりもきっちり書かれているので元々彼女を知らない人でも楽しく読めたんじゃないでしょうか。私も私の知らない彼女を知れたので楽しく読みました。
仙台で知り合った後、彼女のブログをざっと全部読んだんですが、前より仕事のスピードが早くなったらしいので以前の自分と比較しながら考察してみるなどなど、他者からの評価を自分で改めて分析する姿勢が凄いな~と思いました。(ここまで1章)
会社訪問とか、面談対策とか、一般的な就活として必要な対策をきっちりとやったうえで第一志望に落ち、一度19卒を諦めて20卒に切り替える判断が出来たのもすごい。自己分析やってきた成果がここでも出てるし今後も出るんだろうなと思う。
この辺り、自分では「分かってるけど適当に解釈して結論を出さない」みたいな、あいまいにしがちなところとちゃんと向き合っているのが凄い。
いったんメンタルコントロールをしたという意識があるし(3章)、企業に求めるモノや感情を殴り書きして整理しているのもまず自分では思いつかないので、伝手を辿って就職や転職を決めた人間としては「ちゃんとやりすぎると人間こうなるんだな」と思った。あとiPadとか使えるものは使うべきなんだな。ちょっと買おうかな~~みたいな気持ちになってしまった。

曖昧な認識や信条をきちんと文章に仕立てて読み物として提供するのは簡単なことではないし、(あんだけ〆切破滅しながら)無事に本を出して本として売り上げを出してるのすごい。100冊超えたらしい。私は物理本を貰ってしまったのでお代?お礼?として普段おろそかにしがちなアウトプットをしている。

Re:VIEWよしあし

Re:VIEW、めっちゃ手軽ですよね。でも注釈がないと「小口とノドが逆」に見えて気持ち悪いからテンプレートいじれる人はいじった方がいいです。
私は普段Wordと一太郎と気合でPDFにしているんですが、技術書展みたいな、同じテンプレートにみんな乗っかりがちなジャンルで本を作る場合、本文の余白の取り方やフォント、見出しの装飾が完全に同じになってしまうんですね。GitとRubyの本を買いあさったけど中身一緒に見える、わけがわからん、みたいなことになってしまう(なった)。
書いて印刷所に投げるだけの人はいいけど、買って読む人のこともちょっと考えて個性を出してみるのもいいんじゃないかなあと常々考えています。
同人誌だと、あたまゆるい系のえろ本は行間広め文字大きめにするし、ちょっと純文学み出したければ外の余白大きくとって文字小さくしてぎゅっと詰めたりもするし、技術書展勢もオリジナリティや本の中身に合わせたお顔作りをしてはいかがでしょうか。はい。
感想からはみ出た感想でした。

おしまい

ということで、イベントから大分経ったけど感想を書きました。
読み返したら極道入稿とどんぐりテンプレートに対しての言及が多かったので追記。

「なれる!? Webエンジニア 〜文系2留大学生のWeb業界就活記〜」は、就活でもなんでも当てはまることばっかり書いてあります。プリパラとかiPadとかの話じゃなくて。新境地に踏み込む理由を自分で再認識したり、相手に認識を共有したり、どうすればいいのか考え続けた過程がきっちり書いてある。
就活に挑む人も転職に挑む人も、一人の人間の苦しみが言語化されているので、自分のやり方を模索するためにも読んでみるといいかもしれない。

こちらからどうぞ。
なれる!? Webエンジニア(BOOTH電子版)

kiryuanzu.booth.pm

奥付には印刷所と連絡先も書きましょうね。以上!