感情的ドリル

Ruby県から飛び出して関東にきたオタク

【炬燵編】Kaigi on Railsのプロポーザルを評価するときに考えていること、求めていること

こんにちは。Kaigi on Rails Teamの炬燵です。先ほど(先ほどというのは2025/07/20の21:15を指すわけですが(この文章はレビューを経て公開されるため『先ほど』は全く『先ほど』ではありません))、Kaigi on Rails 2025にいただいたプロポーザル全てに採択(accepted)あるいは不採択(not accepted)の連絡が届いたかと思います。私は運営SlackのHuddleで、結果を送る作業を眺めていました。

私のスタンスはこちらなので、何かありましたらオフラインなり、ruby-jpのDMなり、mixi2のDMなり、XのDMなり、sakahukamaki[at]gmail.comなりに「我こそは某なり。汝、我のプロポーザル如何に判断されたか」と連絡をいただければ、私の点数、私のコメントを送った上で、レビューとしてここの描写マジ不足也とかこの文章がダメで候とかここめちゃ良かったので当日期待してますとかお返事します。


さて、Kaigi on Railsのオーガナイザーチームのうちインフラ全担いマンうなうなとチーフオーガナイザーの大倉さんが記事を書いています。

blog.unasuke.com

okuramasafumi.hatenablog.jp

とりあえず私も書くことにしました。上記も参考にしつつ、オーガナイザーざっくり30人分の1の炬燵がどのように評価しているか、何を求めているのかを書きます。前置きが長い。

評価軸

これは読まなくていい段落なんですが、私は元々フィギュアスケートをやっていて、教室でぺちぺち歩いていたり、選手になって飛んだり回ったり、引退して指導側に回ったり、機材配線側に回ったり、審判団の教育を受けて審査をしたりなどしていました。地元の大会では審判団としてジャッジをし、ブロック大会では要素の切り抜き作業をして、要素のレビュー作業を行っていました。ジャッジとしては誰しもを公平に見なくてはならないので、親友も、懐いてくれた後輩も、初めましてのひとも、いつも見ているひとも、皆同様にルールに則って審査していました。※アイスショーに行くときは太い血管にカイロが当たるよう、それから手足の指先にカイロが当たるように冷え対策をしていってください。おすすめは内ももと肩甲骨です。
というわけで、人間を評価する事に慣れているわけですが、フィギュアスケートには国際ルールがあり、それに従う形で審査をしていました。2025-2026シーズンのガイドラインはこのようになります。

https://docs.jsfresults.com/nextcloud/index.php/s/TZa2bZRSrmZmo2E?path=%2F01%20ISU%E7%89%B9%E5%88%A5%E8%A6%8F%E5%AE%9A%E3%80%81%E6%8A%80%E8%A1%93%E8%A6%8F%E5%AE%9A%E3%80%81%E3%82%B3%E3%83%9F%E3%83%A5%E3%83%8B%E3%82%B1%E3%83%BC%E3%82%B7%E3%83%A7%E3%83%B3%2F01%20%E3%82%B7%E3%83%B3%E3%82%B0%E3%83%AB%E3%83%BB%E3%83%9A%E3%82%A2%2F2025-2026%E3%82%B7%E3%83%BC%E3%82%BA%E3%83%B3

上記から引用すると、特にジャンプにはこのような評価項目が存在します。

GOEプラス採点のガイドライン抜粋

プラス要素の項目表

GOEマイナス採点のガイドライン抜粋

マイナス要素の項目表

GOEの上限値に関わるマイナス要素についての抜粋

GOEの上限値についての言及

昨今有名になったメダリストというアニメにおいて「喜びGOE+5」という台詞があるかとは思うんですが(漫画派かつ原作厨で好きなジャンルの他者の解釈を受け入れられない厄介ヲタクなので米津の主題歌すら聴いてないため断定出来ていない)、これは「行われた要素への評価項目の定義」がぜ~~~~~~んぶ満たされてHappyみたいなやつですね。
ジャンプの太字を3つ満たし、更になんか良い感じの要素が2つあれば+5のジャンプになるわけです。

これがですね、Kaigi on Railsのプロポーザル評価における私の判断軸に影響してきます。ここから本題。

匿名レビュー(Blind review)

Kaigi on RailsはCFP選定会議が行われるまで匿名レビューをしています。
この場合の匿名レビューとは「誰が書いたのか分からない状態でレビューする」ことを指します。リポジトリのURLが貼られていたり、中身から「絶対あの人でしょ」と分かったり、社内レビューなどで事前に中身を読んでいる場合でも、必ず「誰か分からん体で読む」こととなっています。
CFP入力画面にも「あなたが誰なのかわからないように書いてください」と書いてあります。

用語

  • Title: プロポーザルあるいはトークのタイトル。採択時公開される。
  • Abstract: 概要。炬燵の認識はあらすじ。採択時公開される。
  • Details: 詳細。これを参考に評価する。非公開情報。
  • Pitch: ピッチ。炬燵の認識はこのトークを採択すべき理由、自分が話すべき根拠を示すもの。非公開情報。

炬燵個人の評価軸

2025年版の公式のガイドラインはこちらから読めます。オフシーズンは読めない場合があります。 https://cfp.kaigionrails.org/events/2025

その上で、炬燵の匿名レビュー時の評価軸は下記の通りです。

評価時のプラス項目

  • Title、Abstractがあらすじとして興味を引く文章となっている
  • Detailsが十分に書かれている
    • 美しい日本語である
      • 文章として美しい
      • 構造が美しい
      • 満足できる文章
    • 読んだ時点でどのような発表になるか想像がつく
    • Long Session(30min)なりShort Session(15min)なりに相応しい質と量である
    • 過去のKaigi on Railsとネタ被りしていない
  • 是非初学者に聞かせなくてはならないと思わされる
  • 講演映像を資料としてインターネットに残さなくてはならないと思わされる
  • Title、Abstract、Details、Pitchのどこかで笑ってしまったので負け
  • 何を捨てても良いからとにかくこの話を聞きたいと思わされる

評価時のマイナス項目

  • Abstractにオチまで書いてある
  • 文章が美しくない
    • 「てにをは」、読点句点の位置がなっていない
    • 文体が統一されていない
    • ひと段落内に説明と所感とお気持ちが混ざっており読むのに苦労する
    • 構造が存在しない
      • 話があっちこっちいったりね
  • Detailsが不足していて判断がつかない
    • Abstractの内容より短い場合も含む
    • そもそも書かれていない
    • 「○○を導入した」について、結局どうなったのか、どのような話をするのかが書かれていない
  • 表現に難がある(ex: 特定人間へのお気持ちがこもっている)
  • Long Session(30min)とShort Session(15min)に同一内容を投稿している
  • 所属や携わっているプロダクト、自らのリポジトリのURLが貼られているなど個人が特定できる情報が記載されている
  • 〇〇カンファレンスで□□という発表をしましたなど個人が特定できる情報が記載されている
  • Pitchを自己紹介欄として使っている
  • 駆け込みで力尽き、文章が途中である
  • 発表内容について、途中であると明記されている
  • 採択駆動開発であると明記されている
  • Pitchが薄い

いいですか、炬燵の評価項目ですからね。他の人が「所属を書いているからマイナス」とかしているわけではないですからね。炬燵個人の評価項目ですよ。

評価軸の説明

プラス項目は太字の3つ、「是非初学者に聞かせなくてはならないと思わされる」「講演映像を資料としてインターネットに残さなくてはならないと思わされる」「何を捨てても良いからとにかくこの話を聞きたいと思わされる」になります。これらは読んで字の如く、そのままです。説得力です。マイナス項目を満たす条件がなければ、これらは問答無用で満点評価(5点満点)になります。
Title、Abstractがあらすじとして興味を引く文章となっている」ですが、TitleもAbstractもトーク詳細の情報に載ります。つまりは聴衆が参考にする情報です。Titleなんてタイムテーブルにも載ります。これらが興味を引く文章であるということは、効果的な見せ方が出来ているということです。演出面の信頼が置け、当日の登壇も楽しみになります。
美しい日本語である」、美しい日本語であることへの拘りは私個人がひたすらに小説同人誌を作っており、2025年の上半期だけでも6冊出している異常者だからこそ存在します。美しい日本語であることには価値があります。ひとが読む文章を、美しく整えることはマナーとすら思っています。いやこれは思想なんですけど。
Detailsが十分に書かれている」「読んだ時点でどのような発表になるか想像がつく」ですが、これも読んで字の如く、そのままです。LongなりShortなり、しっかり話して聴衆が満足する姿が目に浮かんでいます。例えば「この話をn分」とどう話すのか時間配分が明記されていたりするとこの傾向が強くなります。基本的に、DetailsがAbstractの3~5倍の文章量があると十二分な量になるかなと思います。
過去のKaigi on Railsとネタ被りしていない」、はい。そのまま。Kaigi on Railsに限らず、Rails DMなどのトークとも被っていないか、被っているならそれらの発表を十二分に上回る内容かを見ますので、ハードルが高くなります。
Title、Abstract、Details、Pitchのどこかで笑ってしまったので負け」ですが、笑ったら負けなんですよね。マジで本当にそう。これはもう文章を書いている人間として、ワードセンスに嫉妬して敗北を認め、プラス1点になります。

さて、マイナスの評価項目についてですね。まずは太字。
文章が美しくない」、上述したように私は文章の質に拘りがあります。雑に書いたんだなとはっきり分かる文章は、登壇をまかせられるほどの信頼が出来ません。文章の構造がしっちゃかめっちゃか、段落中の情報が「所感と情報と説明」などカオスになっているなど、そもそもの文章力に難がある場合は読むのに苦労します。文章を書くのに慣れていない場合、何を書きたいかを要件定義し、要素毎に分解し、きちんと文章を書くようにしてみるのがおすすめです。1メソッド1役割、1段落1内容。
関連して「表現に難がある(ex: 特定人間へのお気持ちがこもっている)」がありますが、感情を書き殴った文章は「それ本当にKaigi on Railsで話せると思っているんですか?」と膝を詰めてお話をしたく存じます。個室の居酒屋とかじゃダメですか? 実際に登壇した場合、インターネットに資料が残ることを考えた上できちんと書いていただければと思います。(DetailsとPitchはあなたが公開しない限りクローズドな情報です)
次の太字、「Detailsが不足していて判断がつかない」ですが、1行とか1段落とかさっぱりとしたDetailsに対しては情報がなさ過ぎて判断が出来ません。問答無用で1点~5点の採点のうち1点になります。少なくとも炬燵は。何を話したいのかプロポーザルに書かない限り、是非話してくださいとお願いするわけにはいきません。
最後の太字「発表内容について、途中であると明記されている」「採択駆動開発であると明記されている」ですが、炬燵は未完成状態のものを「当日には出来てるから!」と押し通す人間を信用していません。出来上がっているものを持ってきてください。日々の自らの学びを、誰かに伝えるためのカンファレンスだと私は思っています。生活発表だと思って、「既にやりきったこと、やっていること」を持ってきてください。少なくともオーガナイザーの1人、炬燵は1点を付けます。
関連して、「登壇する場合はOSSにします」などの記載に関してもマイナス項目だなと思っています。それは登壇しない場合一生OSSにならないものなんですよね。じゃあOSSにしなくても大丈夫じゃないですかね。
理解が出来なかった部門だと、「Long Session(30min)とShort Session(15min)に同一内容を投稿している」があります。自らの発表のサイズ感が掴めないひとが喋れるほど、Kaigi on Railsの登壇枠は余っていません。大変ありがたいことに。
Abstractにオチまで書いてある」ですが、その通りです。Abstractはあくまであらすじとして公開される情報であること、トークを聞くかどうかの判断に関わる情報であると認識してください。個人的に、オチをばらされた本は読みません。
理解が出来なかった部門その2なんですが、「駆け込みで力尽き、文章が途中である」があります。Why駆け込み。プロポーザルの駆け込みの波を楽しむ方々もいますが、「あ! ネタになるかも!」と勢いで書いた文章は整合性がとれていなかったり文体が混雑したりと読みやすさに欠けるものになりかねません。炬燵も他のオーガナイザーも、「早めに出してくれたらPublic Commentでレビューが出来る」とお伝えしています。早めに出してください。駆け込みで上質なプロポーザルを拝んだことはあまり経験がありません。

別枠の太字として、「個人が特定できる情報が記載されている」があります。上述したようにKaigi on RailsのCFP入力画面には「あなたが誰なのかわからないように書いてください」と書いてあります。それを読み飛ばすと言うことは、CFPのガイドラインなり、アンチハラスメントポリシーなりも読み飛ばされる可能性があります。あれらはきちんと運営が考えて、読んでもらい、よいカンファレンスにするための文章です。CFPの入力画面にある文章を読み飛ばすひとは、きっとこの文章も読み飛ばすのでしょう。これは炬燵が特に気にしている部分です。アンチハラスメントポリシーも読まないだろうし、名乗れば通ると思っているのかしらと思っています。もちろん、気にしていない人もいます。
関連して、「新卒/2年目が話す事に意味があると思います!」というPitchも「若者だから出来が微妙なのも仕方ないと思ってくれ」という甘えに見えます。偏見なんですけど。
文章を読み飛ばすひとも若さで押し通そうとするひとも、炬燵は脅迫のように感じます。トークを人質にするひとを採択したいとは思えません。
最後に「Pitchを自己紹介欄として使っている」も同様です。あなたが自己紹介を書くべきは公開情報になるProfileであり、Pitchではありません。Pitchは如何に自分が話すに値するかを証明する項目です。あなたでなくてはならない理由を書く場所です。運営に訴えかけるスペースです。「Pitchが薄い」とどうなるか。同じ題材の他の人に、採択が飛んでいきます。採択されたら「Abstractでぼかした企業名やサービス名を書き直したい」と是非申し出てください。

つまりどういうこと

これらを踏まえた上で、炬燵は、あなたがどこの企業のひとで、スポンサー企業か、非スポンサー企業か、採択常連か初見さんかを一切情報として仕入れずに、平等に全てのプロポーザルを審査したいと思っています。あなたの、「もう是非お前が喋ってくれ、お前しかいないよ」と思わされるような熱意のこもったプロポーザルをお待ちしています。

再放送ですが、私のスタンスはこちらなので、何かありましたらオフラインなり、ruby-jpのDMなり、mixi2のDMなり、XのDMなり、sakahukamaki[at]gmail.comなりに「我こそは某なり。汝、我のプロポーザル如何に判断されたか」と連絡をいただければ、私の点数、私のコメントを送った上で、レビューとしてここの描写マジ不足也とかこの文章がダメで候とかここめちゃ良かったので当日期待してますとかお返事します。2025で不採択となったひとから連絡が来たらにっこにこで返答すると思います。連絡お待ちしてます。

重ね重ねにはなりますが、この評価基準は炬燵だけに当てはまります。文章の美しさより熱量に当てられる人もいれば、バリバリ名前が出ていても気にしない人だっています。オーガナイザーの1人はこのように考えている、という文章でした。これは個人の意見であり総意ではありません。総意は公式サイトで出しているものに当たります。きちんと文章を読んで応募してもらえたら炬燵は嬉しいです。

※2025年版の公式のガイドラインはこちらから読めます。オフシーズンは読めない場合があります。 https://cfp.kaigionrails.org/events/2025