こたつです。諸事情があってフィギュアスケートの採点について詳しいです。おおよその解説が可能です。対戦よろしくお願いします。
当初は限定記事にするつもりだったんですが、はてブロにその機能がなくて泣いています。マサカリ、コメント、反論、お気持ちのある方は、JSFのアカウントの有無と最終実績も併せてご連絡ください。
なお、シングルプレイヤーだった上、ペア・ダンスのジャッジの資格が要求されるレベルのジャッジではなかったのでその辺はよく知らないです。はえー揃っててすげーって感じでみてます。
点数評価の読み方
まあまずこれからなんですが、これはとある大会のとある地方のとある選手、すげー過去の私の成績です。
オリンピックとかのPDFの引用周り確認するとこの先を書く気力がなくなりそうだったので、古い状態のものを持ってきました。あと限定記事に出来ない恨みを込めてモザイクを掛けています。 ただ、全体の構成は変わっていません。ジャッジの数が少ないのは地方大会故ですね。
ざっくりと説明をすると、こういうことになります。
技術点の上限は理論上ありませんが、芸術点は5項目10点満点で評価をするので、理論上の最高得点は50点です。
技術点については、行った要素(ジャンプ、スピン、ステップ)毎に、判定と評価を行っています。
芸術点については、五つの項目に従って演技を評価します。
というところで、単語の説明とか諸々をやっていきます。
大枠の単語紹介
ショートプログラムとフリープログラム
SPとFPと略されています。要素が少なくてミスが点に響きやすいのがショート、要素が多くて体力勝負になるのがフリーです。
技術点と芸術点
フィギュアスケートの競技性を、技術面と芸術面から評価する要素です。つまるところそういうものです。
ジャッジ団
ジャッジは、テクニカルパネルとジャッジパネルで構成されます。
テクニカルパネルにはTC、TS、ATSの三人がいて、ジャッジパネルには大会規模に応じた人数のジャッジがいます。
厳密に言うと、テクニカルとジャッジでは必要な資格が違います。
テクニカルパネル
TC、TS、ATSは、テクニカルコントローラとテクニカルスペシャリストとアシスタントテクニカルスペシャリストの略称です*1。 一番偉いのがTCで、TSが先導して判定を行っています。
実況中継の左上辺りに出ている情報は、大体ここの速報値です。
要素の定義を満たしているか、回転数は足りているか、レベルはあるか、という話し合いをして、「これは回転不足の4回転サルコウですね」みたいなのを決めています。
この人たちはISUハンドブックに沿って行動、判定を行います。
PDFのある場所
ジャッジパネル
全体統括のレフェリーと、精鋭のジャッジ群がいます。
ここでは演技に対して、要素の評価と全体の評価を行います。
要素の評価はGOEと呼ばれています。
仕事の流れは以下の通り。
- 演技をガン見する
- GOEを決める(演技中に入力したものは中継の数値になる)
- 2をしつつ芸術点の評価も脳内で行っておく
- 演技終了後に全てを入力する
- テクニカルパネルの「要素の決定」を確認し、必要に応じてGOEの評価を変更する
GOEの概念
まあこれは当然なんですが、「すげえ好みなら満点付けていいよ」とかいうガバガバルールは存在しません。そういうことをすると、大会後にジャッジパネルで開く反省会でレフェリーにガン詰めされます。
GOEは、-5から+5の範囲で評価します。簡単に言えば、転倒で-5、めっちゃすごかったら+5です。
ただ、テクニカルパネルが決定した要素から、「回転不足ならGOEをさげる」などの調整も必要です。また、数値ではなく「-」が表示されているものは、要素として無効と判定されています。
PDFのある場所
+5を取るには
+4や+5は、固定の3項目にプラスアルファで得られる評価なので、とてもすごいです。
例えば、スピンの固定項目は「回転速度のコントロールがとれている」「姿勢が全く崩れない」「無駄のない美しい出来映え」になります。
これらを満たした上で、「回転軸が常にまっすぐですごい」とか「こんな姿勢おまえしか出来ないよ」とか「姿勢変更のタイミングが音楽とバッチリでマジ天才」とかがあれば、最大評価を得られます。
芸術点の内訳
SS、TR、PE、CO、INの5項目があります。これの判定がマジで難しくて、人によって判断が変わります。
ものすごーーーーくざっくり述べると、それぞれこんな感じ。
略称 | 正式名称 | なにを評価するか |
---|---|---|
SS | Skating Skills | スケートそのものがすごく巧い |
TR | Transitions | ダレない休まない歩かないずっと何かをやってすごい |
PE | Performance | 全身が意図をもって動いていてすごい |
CO | Composition | どこでも飛ぶし回るし氷全体使い切れてて振り付け作ったやつ天才だし演じるおまえも天才 |
IN | Interpretation of the Music | 音楽との親和性が高く演技のバフになっててよい |
尤もジャッジの好みと知性と芸術ステが反映されます。*2
ここなんですが、何らかの要素を失敗したら10点満点は取れません*3が、10点に届くのは世界で5人くらいかなーって感じです。
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偏った評価どうなるん
ジャッジの人数にもよりますが、上下カットした点数の平均を取ります。
後半のジャンプが云々
演技開始(動き出し)から、規定の演技時間の半分を超えた時点以降に実施された要素に対して、基礎点が1.1倍になります。基礎点がでかいジャンプを後半にやると本当に点数が化けるので、それも作戦の一つです。
ステップって何してるの?
猛スピードのままクソ難しいステップを正確なエッジで踏みながら全身で踊っています。めっちゃむずい。
ライブコーディングで一度もtypoしないで解説もしてるとか、聖徳太子しながら小説を書くとか。うまい例えが思いつかない。とってつけたように手を振るとか反るとかしても「それ踊ってねえじゃん」と評価に至らなかったりするので、ずっと動き続けて重心も変わるのにクソむずステップをちゃんと踏んでるのやべえんだよなっていう、はい。
のんびり進んでいるように見えて、とんでもないことをしているんだなあ躓かないのすごいなあ、くらいで見ていれば良いと思います。
公表されるリザルト
今やってるオリンピックのものはここにあります。
XXIV Olympic Winter Games 2022
団体の男子フリーの鍵山君ですが、4回転ループ(4Lo)への評価がジャッジ内で割れてるなーって感じが見えてよいです。あと回転ちゃんと足りてたんだなあって思います。
|Japan Skating Federation Official Results & Data Site|
日本で行われた大会、地方大会、世界大会、グランプリシリーズとかのリザルトにはここから大体アクセス出来ます。
ちなみに、数年前から担当したジャッジとJ1~J9の割り当てが誰なのかも反映されるようになり、「このジャッジこういう傾向で点数付けるんだあ」みたいな攻略も出来なくはない状態になりました。
リザルトの読み方
ということで再掲。 左上上段から、テクニカルパネルが判定した要素と基礎点、ジャッジパネルの評価とそれを反映した評価点、基礎点と評価点の合算、技術点の合計。下段は芸術点の各項目へのジャッジ毎の評価とその評価点、芸術点となります。
はい、疲れたのでこれにておしまいです。それでは~。